平坦な道じゃきっとつまらない
きみと生きてく明日だから 這い上がるくらいでちょうどいい
魔法陣グルグルのアニメ1期のED、「風にあそばれて」の歌詞だ。
さっき小学生の頃の嫌すぎる教師の話を書いていたら唐突に思い出した。
誰にでも人生にはつらいことが多々ある。
私も大人になってからまあまあ酷い目にも遭ってきたし、自殺未遂もして、今もメンタルダウンで休職していたりするが、なぜか小学生の時が一番しんどかった気がするのだ。
いじめがあったとか不登校になったとか、具体的な何かがあったわけではない。
ただ、毎日が平均的にもやもやとしてしんどかったと思うのだ。
魔法陣グルグルは田舎では放送されていなくて、親とレンタルビデオ屋に行き何度も借りて見ていたもので、大好きだった。
話、音楽、キャラクター、世界観、絵、すべてが大好きだったが、歌もその大好きなものの一つだった。
「脇道をひとり歩く そんな自分に みとれてみたり
歩き疲れたあの人へ 冷たい言葉を平気で放つ
調子づいてた小さな自分 風に遊ばれて やっとここに立っていた…」
小学4年生がその歌詞の意味を理解して小さな声で歌いながら毎日通学していた。
数少ない頭の引き出しに大事にしまって、自分を鼓舞していた。
周囲の友達はアニメを見ていなかったから(放送地域ではないため)、小学生の狭い世界の誰にも理解されない歌。
なんとなく全部が理不尽で、子供社会は残酷で、意味の分からないルールがあって、先生の怒りは筋が通っていなくて、苦手なことから逃げてはいけなくて、反論するほどの言葉の組立はできなくて。
なんか漠然とつらかったなと思う。
小学校を卒業するとき、友達は泣いていたけど、私は「ッシャ――――――オラ――――――!!!!!!!やっと卒業だぜ――――――!!!!!!もう二度と来ねえぞ―――――!!!!!!」くらい思っていたのでうれしかった。親にはあんたは泣かないのね、と言われた。泣くわけねーです。理由がないもん。
中学、高校と上がるにつれて、なんとなく秩序が正しくなっていったように思う。かかわる社会が広がるから、特有の理不尽は段々排除されていったのだろうか。洗脳の第一段階は、対象を周囲と切り離すことだからね。それに残酷だった児童たちは生徒になって、気遣いや上下関係を覚えるようになる。
未だに学生に戻る夢を見る。「うそでしょ、もうあんな強烈な受験勉強なんてできない…!」と絶望したところで、「あれ、私働いてなかったっけ?」と思い目が覚める。社会人でよかったーーーー!!!と安堵する。
弊社くんは弊社くんでメンタルを崩すくらいしんどいのだが、それでもそう思って目を覚ます。なお弊社くんの秩序は公家社会なので比較ができる類のものではない。
今、昔の小さな私を鼓舞していた歌を思い出して、もう一度かみしめている。
どうにもならない今日。
這い上がるくらいでちょうどいい。そうかもしれない。
ちなみに、洗脳的なことは人生で二度されている。我ながらバカである。
これからは警戒できる。もうあんなことはごめんだ。
「洗脳されてるかと思ったよ、戻ってきてくれてよかった」なんて、人生で聞かない台詞ランキングにはいるだろ。もう二度と聞きたくないし、言わせたくないよ。